昨年11月、花まる学習会代表の高濱正伸さんの講演会へ行ってきました。(記事をアップするまでに時間が空いてしまいました)昨年度、幼稚園で役員をやっていたこともあり、子育てセミナーに参加したり偉い先生方のお話しを聞いたりする機会もたまにあったのですが・・・
ここだけの話、ついウトウトしてしまうような講演会も。
そんな中、高濱さんの講演会は抜群に面白く、その魅力に惹きこまれた1時間半でした。子育てのヒントも散りばめられていましたので、感想含めてレビューしたいと思います。
花まる学習会とは?
幼稚園児~小学生を対象とした学習塾です。子どもたちを「将来メシが食える大人・魅力的な人」に育てることをモットーに、幼児の本質を見据えた指導を行っています。
高濱さんは予備校での指導時代に、「自分はこれがやりたい」という意欲、意志が感じられない子どもたちをたくさん目の当たりにしたそうです。「これで将来自立して生きていけるのだろうか?」「将来、メシが食える大人になるのだろうか?」と不安を感じたとか。
それが花まる学習会設立のきっかけだったそうです。
思考力、作文、文章題といった手のかかる分野を扱いながら、学ぶ意欲・面白さを子ども自身が感じることができるように指導を行っています。
花まる学習会代表 高濱正伸さん
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。
保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
【主な出演番組】
2010年の「情熱大陸」(毎日放送/TBS系列局)への出演
2011年の「日経スペシャル カンブリア宮殿~村上龍の経済トークライブ~」(テレビ東京/TXN系列局)への出演
2012年の「最先端情報&人物ドキュメンタリー番組 ソロモン流」(テレビ東京/TXN系列局)への出演
2013年の「新報道2001」(フジテビ)への出演
等、メディアにも数多く取り上げられている。
【主な書籍】
■主な著書
『小3までに育てたい 算数脳』(健康ジャーナル社)
『お母さんのための「男の子」の育て方』(実務教育出版)
『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ(草思社)
『「生きる力」をはぐくむ子育て』(角川SSC)
『わが子を「メシが食える大人」に育てる』(廣済堂出版)
他多数。
※花まる学習会代表/NPO法人子育て応援隊むぎぐみ 理事長 高濱 正伸 | 花まるグループ 講師一覧 | 【花まるグループ講演会・勉強会情報】 より一部抜粋
【講演会レビュー】親は子どもにどう関わっていけばいいのか?
① 幼児教育の重要性
「頭の良さ」って何でしょうか?
講演会の冒頭でのお話しです。
情報が多い現代、「人の価値観」で生きている人間は不幸になります。「親が進めるからこの高校に行こう」「みんなが良いっていうからこの会社に入ろう」
でも実際にその高校で勉強をするのも、その会社で仕事をするのも自分です。何を目標に何をして過ごしていくのでしょうか。
頭の良い人は「働く頭」を持っていて
「自分の考え・哲学」を持っている
そしてそれを「自分の言葉」で話すことができる
「メシが食える大人」になるためにはその「働く頭」が必要です。
その「働く頭」には幼児教育が重要。幼児教育、といっても早くからひらがなを書いたり計算をしたりするものではありません。「遊びの質」で差がつくのだそうです。
好きな物、没頭できる物が見つかれば、そこで「集中力」が身につく。
どうボールを蹴れば上手くゴールに入るかを考え「見えない線」を見るようになる。
どうやったら上手くシュートできるか、どうやったらこの昆虫を捕まえられるか・・・
子どもたちは知らず知らずに、自ら課題をみつけ解決していきます。
自由な遊びの中から子どもたちが学んでいくことは、後に子どもたちの「働く頭」に大きな影響を及ぼしていきます。
② 「赤い箱」と「青い箱」の特性を知る
子どもの特性を「赤い箱」と「青い箱」に分けて話していました。
・3歳~9歳
・世界の全ては「家」「家族」
・落ち着きがない
・直観力に優れている
・11~18歳
・「家」「家族」以外の外の世界と繋がっていく
・鍛錬の時期
・親ではない「外の師匠」が大きな影響を与える
この「外の師匠」というのは、野球のコーチであったり、部活の先輩であったりするそうです。
赤い箱から青い箱へ移行すると、子どもたちの考え方や見えるものも変わってきます。
この時に親ができることは
子どもが青い箱に移ったことを受け止めること
だそうです。
少しずつ手を離す時がきたのだと。
赤い箱の頃、親は子どもを「守りたい」気持ちでいっぱいだと思います。もちろん、私もそうでした。自分がしっかり守ってあげなければ、と毎日思っていました。
でも・・・人生には多々、嫌なことがあります。
だから人は強くなる。
子どもを嫌なことから遠ざけないこと。
先回りして回避させないこと。
それが、青い箱へ移った子どもに親ができること、だそうです。
うちの長男は今年で10歳。
まさに青い箱への移行期です。
今まで本当に色々なことがあった10年間。
もちろん、子どもを想う気持ちは今も変わりません。
過保護で心配性の自覚のある私。心の準備という意味でも
息子が10歳になる前にこの話を聞いておいて良かったと心底思いました。
③ 「孤独な子育て」からの脱却が必要
ひと昔前までは3世帯同居や近所付き合いの中、お母さんの子育ては「孤独」ではありませんでした。何かあれば相談できる人がいる、子どもの面倒を見てくれる人もいました。
現在ではどうでしょう?
「子どもは夫婦で協力して育てるもの」という認識が広まってきたものの、まだ子育ての大部分は母親に任せっきりという家庭も多いのではないでしょうか。
協力してくれる人、相談できる人がいない母親はネットに情報を求めることも。
そこには良い情報もそうでない情報も溢れています。
「しっかり子育てしなければ」「きちんと育てなければ」
真面目な親ほど、どんどん追い込まれていくこともあります。
そして自分を責めたりします。
「働いているせいで、お迎えが遅くなってごめんね」
「ママがしっかりしてないせいで、ちゃんとご飯作れなくてごめんね」
そんな中で自己肯定感の強い子どもが育つでしょうか?
大切なのは、親が毅然たる態度でいること。そして信念を持ってやり続けること。
そりゃあ、お迎えは早いほうが子どもは喜ぶし、しっかりご飯作ってあげたほうが良いことは言うまでもありません。でも、働くことにも、ご飯を作れないことにも理由があります。優先させたいことは人それぞれ。
親だって人間です。
働いて外に出ることでもいい。
ママ友とおしゃべりすることでも、何でもいいと思います。
「自分が孤独にならないための何か」「子育て以外の世界」があると、子育ても窮屈ではなくなるのかもしれません。
・まとめ
「泣いて笑ってためになる」終わってみればキャッチコピー通りの感想でした。
高濱先生の講演は終始、情熱的で勢いのある語り口調でした。途中、ご自身のエピソードで若い頃に興味があったものの中に「落語」が出てきたので、なるほど話が面白いのも納得です。
笑いは随所に散りばめられている。では、どうして「泣ける」のか?
子育てには正解がありません。
「これで正しかったのか?」「自分は良い親なんだろうか?」といった葛藤の中で日々子どもたちと向き合っています。もちろん、私もそうです。
「それで大丈夫なんだよ。親にしかできない役目ってのがあるんだから。子どもはこうやって大きくなっていくから。自信もって頑張りな。」
そんなメッセージを向けてくれるから、思わず泣けてしまうのかな、と。
たくさんの子どもたち、その親御さんたちと触れ合う中で、きっと親の気持ちもお見通しなのでしょう。もっともっと話を聞いてみたい、そう感じました。
講演会(今はコロナの影響で開催されていませんが)やSNSの発信も積極的にされているようなので興味のある方はぜひご覧くださいね!!
コロナ自粛の中で、頑張っているお母さんお父さんの、役にたちますように。すこしでも、一つでも。https://t.co/wu3P3XOstd
— 高濱正伸 (@19590314) May 17, 2020
【参考文献・URL】
・楽しく思考力を伸ばす幼児教育・学習塾
・花まる学習会代表/NPO法人子育て応援隊むぎぐみ 理事長 高濱 正伸 | 花まるグループ 講師一覧 | 【花まるグループ講演会・勉強会情報】